Scene.11 小さくてもデッカイぜ! |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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Scene.11 小さくてもデッカイぜ!

高円寺文庫センター物語⑪

「店長、やっぱり『FOCUS』おまえんとこにはあったな」

「あ、木田さん。貼り紙に書いた心情ですよ」

「うん、根性あるぜ。

ところでさ、いやに店の中が混んでないか?」

「ここんとこビッグネームに、店の紹介が続いているんですよ。

朝日新聞の日曜読書欄や週刊誌の『AERA』に、雑誌の『MEN’S NON-NO』までなんですもん。

電話の問い合わせまで、頻繁にあるんですよ。やっぱり全国紙は凄いです!」

「店長、木田さん。こんにちは!」

「あ、タツロクさん! 聞いちゃった。タツロクさんが、交番で怒られていたって話じゃないの」

「わ! 文庫センター情報網は怖いな、捕まっちゃった(笑)。

ビデオ屋に行くとき、シャツの両脇にエアガン差し込んで歩いていたら職質にあってさ! 隠していたのにバレちゃった」

「あのね、それってボクでもしないから!」

「ん? 店長! その胸のポッケに輝くシルバースター勲章のようなのは、携帯電話?」

「そうなの、ピッチから変えちゃった。

ドイツ軍の電撃戦じゃないけど、文庫センターも情報戦的機動力でしょ?!」

「ほら、店長! 実はボクも。

でもさぁ~個人個人の普及率がまだまだだから、いまのところは会社との連絡用だもんねぇ・・・・」

「タツロクさん、電話番号を下さいよ。ガンガンに新刊案内をするからさぁ!」

 

「みんな、りえ蔵がバイト復帰したことだし。今日は4丁目カフェで、最近の総括と展望ミーティングするからね」

「内山さんとさわっちょは安心だけど、京子ちゃんは頑張ってた?」

「りえさん、聞いてぇ~ちゃんとスリップ管理していたんだから」

「さわっちょ、これって私がいない間の直取引のグッズリストなのよね。

ねこじるTシャツから始まって、ピアラさんからのアロマテラピーとゲゲゲの鬼太郎テレカにねじ式Tシャツとねじ式トコトコ人形。

ブラッシュさんからはロック・ポストカードね。売行きはどうなの?」

「Tシャツとねじ式人形は好調です。アロマテラピーは、予想外に売れているんですよ! 鬼太郎テレカは店長がススメまくっているので、しっかり売れています。」

「あはは、店長! ニコニコ顔は、鬼太郎テレカが売れているから?

でも、ポストカードの単価が一枚150円って枚数が売れなきゃでしょ?!」

ロングセラーだった『ねじ式トコトコ人形』

「ばってん、りえちゃん。

そりゃ、1枚だけ買うお客さんもいるけんが、ロック本と一緒とか他のグッズと併せて何枚とかプラスアルファの効果があるけん、よかよ!」

「それにりえ蔵、下北沢の大麻堂から仕入れたハーバル・ドラッグが売れ始めているから拡大したいんだ。近いうちに、下北に行ってみようぜ」

「パブ関係は、どうなんですか?」

「最近だと、ホリプロからTV番組の『NONFIX』でフジテレビの取材があったし、『毎日グラフ・アミューズ』の取材、明後日は『CanDo!ぴあ』の取材。

ウィンドーは美術出版社さんとで『コミッカーズ・イラスト展』予定しててさ、年明けには海風書房さんからゲバラのグッズを仕入れられるかもなんだ」

「売上げ停滞気味な、過剰在庫は大丈夫ですか?」

「際立ったものはないけど、来年5月の開店9周年セールでバーゲンを考えればいいんじゃないかなぁ?!

ロングセラーだった『ねじ式トコトコ人形』と『鬼太郎テレホンカード』

いまは攻めだよ。イベントの企画とマスコミPRに、「高円寺イラストMAP」の改訂版かな・・・・あと、店の看板をなんとかしたいな!」

「店長、しっかり仕事していましたねぇ」

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のがわ かずお

1951年 東京生まれ。書泉を経て、高円寺文庫センター店長。その後、出版社のアートン・ゴマブックス・亜紀書房顧問。本屋B&B、西日本出版社などにかかわる。 温泉とプラモデルと映画を、こよなく愛する妖怪マニア。共著『現代子育て考5.男の子育て』(現代書館)、『独断批評』(第三書館)。


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